「町家×コーヒースタンド」の先駆けとなったブランディング10年
2026.01.05Report
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2026年の年頭にあたり、私たちの根幹にある考え方とこれからの展望についてお話しさせてください。
私たちは京都を拠点にブランディングを手がけるデザイン会社ですが、同時に「GOOD TIME COFFEE」というカフェを自社でプロデュース・運営しています。本年は、この現場で培った視点をより一層深化させ、皆様の事業に伴走する一年にしたいと考えています。
まちの課題をデザインで解決する
私たちがカフェを始めたのは、単に流行を追ったからではありません。すべての始まりは2015年、当時この京都・島原周辺で課題となっていた「空き家の増加」でした。
「築100年以上の京町家を活かし、かつての活気を取り戻したい」
プロジェクトの発起人である家主の想いを受け、私たちはこれを単なる店づくりではなく、地域活性化のプロジェクトとして立案しました。 地域の課題に向き合い、デザインの力で人が集まる場をつくる。それがGOOD TIME COFFEEの出発点です。
ロジカルなデザイン戦略
あれから10年余り。一過性のブームに頼らず、地域に根付くブランドとして育ててきたプロセスは、私たちにとって「デザインの社会実装と経営への効果」を実証する研究開発の場となっています。
決して好立地とは言えない場所で、長きにわたりブランドを維持・成長させてきた背景には、感性だけではない明確なロジックがあります。
1. 歴史の継承と更新
リノベーションにおいては、単に古さを残すだけでも、新しくするだけでもなく、「今の時代にあった価値」をつくることを重視しました。歴史ある建築を受け継ぎながら、コーヒースタンドという現代的な機能をもたせる。この新旧の融合によって生まれた空間は、地域の方にも観光で訪れる方にも「よりよい時間」を過ごせる場所となりました。
2. 地域と連携した商品開発
看板商品の「カモネギサンド」は、食材を近隣の店舗から仕入れ、地域に根ざした京都らしいメニューとして開発したものです。このネーミングには、「鴨が葱を背負ってくる」ということわざと店名を重ね合わせ、「良い時間が訪れる」という縁起を込めています。おいしさへのこだわりはもちろん、そこにストーリーを添えることで、地域を盛り上げるきっかけをつくっています。
3. 見えない価値の可視化
ブランドカラーの「藍色」は、古くから人々の生活に親しまれてきた色として採用し、店舗デザインの基調としています。この色は装飾だけでなく、情報の伝達にも活用しました。例えば、5種類のコーヒー豆のラインナップは、藍を染め重ねる回数に見立てたグラデーションで表現。難しく思われがちな焙煎の違いを直感的にわかりやすく可視化しています。
2026年、「デザイン経営」で事業を次のステージへ
GOOD TIME COFFEEの運営で培った知見は、すべてクライアントワークに還元されています。私たちは、表面的な装飾をおこなうだけの会社ではありません。
「事業の課題は何か」「どのようなデザインが解決策になるか」
これらを経営の視座で語り合い、実装できるパートナーでありたいと考えています。京都での新規開業、ブランディング、商品開発など、デザインと経営の複合的な視点が必要なプロジェクトにおいて、皆様のお力になれれば幸いです。
本年も変わらぬご愛顧のほど、心よりお願い申し上げます。
令和8年1月吉日
株式会社タクマデザイン
代表取締役 西山 拓磨